日本における無痛分娩の普及率は、年々増加してきていますが、欧米諸国と比較すると、普及に遅れが見られている状況です。当記事では、日本における無痛分娩の普及率と背景についてまとめ、普及の課題などについてもまとめています。無痛分娩を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
日本の無痛分娩普及率は、2023年時点で約11.6〜13.8%と推定されており、5〜6年前の5%前後から倍増している状況です。しかし、欧米諸国(アメリカ・フランスなど)においては、無痛分娩の普及率が70%以上に達しており、日本は依然として普及の遅れた「後進国」とされています。
2023年時点では、日本の産科取扱病院のおよそ2000施設のうち、無痛分娩対応可能な施設は約37%となっています。 無痛分娩の取扱数の地域差は大きく、東京都や神奈川、熊本、千葉などで高く、岩手や高知では低い傾向にあるのが特徴です。
無痛分娩を安全に行うためには、麻酔の管理や出産時の緊急対応について検討しなければなりません。しかし、日本では麻酔科医が不足しているほか、無痛分娩に対応できる産科医療施設が限られており、普及が進まない原因の1つとなっている状況です。
特に、地方の医療機関や中小規模の病院では、対応できる医師やスタッフの確保が困難な状況から、無痛分娩の安全性・リスクへの不安も課題の1つです。
また、日本においては、妊娠や出産は病気ではないという理由から、妊娠・出産に関する医療費はほとんど自己負担で用意しなければなりません。そのため、無痛分娩は、出産費用のほかに10~20万円前後の費用が必要です。一般家庭にとっては大きな負担となってくるため、費用面の問題で無痛分娩を選択しにくいといった声も。
上記のほかには、文化的・歴史的な背景による無痛分娩への抵抗感や情報不足も、普及においての課題に挙げられます。日本では、「お腹を痛めて産むことは母親になるための試練」といった文化的な信念が根強く存在しており、無痛分娩を選ぶことに対する心理的抵抗が未だ大きいと考えられている状況でもあります。
無痛分娩希望者が増加していることから、各地で医療機関の対応も進んでいる状況です。日本政府は、2026年より正常分娩(自然分娩)の保険適用や無償化といった政策を検討しているとされています。
また、東京都では無痛分娩に対する助成も検討するなど、費用面においての負担を軽減する取り組みに注目が集まっている状況です。医療機関の体制整備や、啓発活動によってさらなる普及拡大が期待されています。
A. 日本の無痛分娩の普及率は、2023年時点で約11.6〜13.8%と推定されています。5〜6年前の約5%前後からは増加していますが、欧米諸国と比べるとまだ低い水準にとどまっています。
A. 日本では麻酔科医の不足や、無痛分娩に対応できる産科医療施設が限られていることが大きな要因とされています。また、費用負担の大きさや、文化的・歴史的背景による心理的な抵抗感も、普及が進みにくい理由の一つです。
A. 2023年時点では、日本の産科取扱病院のうち、無痛分娩に対応している施設は約37%とされています。ただし、地域差が大きく、都市部では比較的多い一方、地方では対応施設が少ない傾向があります。
A. 最大の課題は、麻酔科医の不足と医療体制の確保です。特に地方や中小規模の医療機関では、無痛分娩に対応できる人員や設備を整えることが難しく、安全性への不安が普及の妨げになっています。
A. はい、日本では妊娠・出産が原則として保険適用外であるため、無痛分娩には通常の出産費用に加えて10〜20万円前後の追加費用がかかるケースが多く、経済的負担が選択のハードルになっています。
A. 日本では「出産は痛みを伴うもの」「お腹を痛めて産むのが母親の役目」といった考え方が根強く残っており、無痛分娩に対して心理的な抵抗を感じる方も少なくありません。このような文化的背景も、普及の課題とされています。
A. 無痛分娩を希望する方は年々増加しており、医療機関の体制整備や啓発活動も進められています。また、正常分娩の保険適用や無償化、自治体による助成の検討など、制度面での動きもあり、今後の普及拡大が期待されています。
A. 無痛分娩を検討する場合は、対応可能な医療機関を探し、麻酔科医の体制や安全管理、費用、リスクについて十分な説明を受けることが大切です。普及率だけにとらわれず、自分の体調や価値観に合った選択をするためにも、医師とよく相談しましょう。
無痛分娩は、日本各地において少しずつ普及しつつありますが、全国的には十分とは言えないのが現状です。医療側も安全性確保と体制強化に努め、選択肢として広げていく取り組みを続けていくのが課題と言えます。
無痛分娩を検討している方は、無痛分娩対応可能なクリニックを探し、医師とよく相談することが重要です。
公式サイト、あるいはJALA(無痛分娩関係学会団体連絡協議会)のサイトにて、無痛分娩の年間実績が確認できた、京都市にあるクリニックを選定(2025年4月調査時点)。
分娩可能時間や麻酔科医の在籍数といった医療体制や、NICUの有無、費用も調査しています。
| 無痛分娩の 年間実績 | 麻酔科医の 在籍数(※1) | NICUの 有無(※2) | 無痛分娩 可能時間帯 | 無痛分娩の 費用※税込 | |
|---|---|---|---|---|---|
足立病院 | 546件 (2023年) | 常勤6名 非常勤3名 | 9床 | 24時間 | 550,000円~ 652,000円 |
身原病院 | 415件 (2023年) | 記載なし | 記載なし | 24時間 | 557,000円~ |
中部産婦人科医院 | 347件 (2023年) | 常勤1名 非常勤4名 | 記載なし | 24時間 | 600,000円~ |
醍醐渡辺クリニック | 151件 (2021年) | 記載なし | 記載なし | 記載なし | 590,000円~ |
島岡医院 | 34件 (2023年) | 記載なし | 記載なし | 24時間 | 記載なし |
京都桂病院 | 16件 (2023年) | 常勤1名 | 記載なし | 原則計画分娩 (平日日中) | 570,000円 前後 |
(※1)出典:無痛分娩関係学会・団体連絡協議(https://www.jalasite.org/hp/10469.html
(※2)出典:産後なび(https://www.mhlw.go.jp/stf/birth-navi/search.html?:embed=yes&:linktarget=_blank&01=26&18=01)
無痛分娩の実績について
足立病院(https://www.adachi-hospital.com/numbers/)
身原病院(https://mihara.com/about/outline/)※2023年分娩実績から、無痛分娩割合(平均)に基づき算出
医療法人社団中部産婦人科医院(https://www.nakabe.or.jp/painless.php)
醍醐渡辺クリニック(PDF)(https://hospital.d-w-c.jp/painless_delivery/img/pdf_mutsubunben.pdf)
島岡医院(https://www.shimaoka-ob-gy.minami.kyoto.jp/data/)
京都桂病院(https://www.katsura.com/sanfujinka/labor_analgesia_info.html)
2025年3月15日調査時点
※金額はあくまで目安です。無痛分娩を行なった場合、掲載している費用よりも高くなる可能性もございます。費用の詳細はクリニックに直接お問い合わせください。
無痛分娩は、一般的に硬膜外麻酔を使用して行われます。この処置は高度な技術と経験が必要で、医師であれば誰でも対応できるわけではありません。
そのため、麻酔科医が在籍しているかどうか、何人いるかは、安全かつ計画通りの無痛分娩が可能かを判断するうえでとても重要です。
また、分娩は自然の流れで起こるため、深夜や休日に急に始まることも少なくありません。複数の麻酔科医が常勤で在籍し、交代でオンコール体制を整えている病院であれば、時間に関わらず無痛分娩の希望が叶いやすくなります。
NICU(Neonatal Intensive Care Unit)は、在胎週数や出生体重に関わらず、特別な医療的ケアが必要な新生児を集中的に治療できる医療設備です。
無痛分娩は、母体の心身への負担を軽減する分娩方法として広く利用されています。ただし分娩の種類にかかわらず、新生児には予測が難しい医療的ケアが必要になるケースもあるため、NICUの有無など、施設の対応力を確認しておくことも安心につながります。
NICUのある病院では、生まれてきた赤ちゃんの様子に応じて適切な対応が取れる体制が整っています。