無痛分娩を検討していると、病院の公式サイトなどで「NICUあり」「NICUなし」という表記を目にすることがあります。
「無痛分娩はリスクが高いからNICUが必要なの?」と不安になる方も多いかもしれませんが、NICUの必要性は“無痛分娩かどうか”だけで決まるものではありません。
本記事では、NICUの役割や、NICUがない病院を選ぶ際のリスクと対処法など、病院選びで知っておきたい考え方を分かりやすく解説します。
まずは、NICUがどのような役割を担っているのかを確認しておきましょう。
NICU(Neonatal Intensive Care Unit)とは、予定日よりも早く生まれた早産児や低出生体重児、呼吸や循環の管理が必要な新生児などを、24時間体制で治療・看護するための集中治療室です。
保育器や人工呼吸器などの高度な医療機器が備えられており、専門的な知識を持った医師や看護師が常時対応しています。
NICUと併せて「GCU(Growing Care Unit)」という言葉を聞くこともあります。GCUは、新生児回復室や継続保育室と呼ばれ、NICUでの集中治療を終えて状態が安定してきた赤ちゃんが、退院に向けて経過観察を行う場所です。
では、無痛分娩を選択する場合、必ずNICUが必要になるのでしょうか。
結論から言うと、無痛分娩だからといって必ずしもNICUが必要になるわけではありません。
無痛分娩はあくまで「母体の陣痛の痛みを和らげる」ための医療処置であり、新生児の状態が悪くなることを前提とした分娩方法ではないからです。
ただし、分娩方法に関わらず、出産にはリスクが伴います。自然分娩であっても、赤ちゃんが仮死状態で生まれたり、呼吸障害を起こしたりする可能性はゼロではありません。
どのような分娩方法であっても、一定の割合で出生後に医療的ケアが必要となる赤ちゃんは存在します。
NICUがある病院(周産期母子医療センターや総合病院など)を選ぶことには、主に3つのメリットがあります。
最大のメリットは、赤ちゃんに万が一のことがあった場合、同じ病院内ですぐに高度な専門治療を受けられることです。迅速な対応が可能であるため、安心感につながります。
NICUがない病院で生まれた赤ちゃんに治療が必要になった場合、NICUのある別の病院へ救急搬送することになります。赤ちゃんが母親と離れ離れになることや、移動自体が赤ちゃんへの負担になる可能性があります。
NICUがある病院であれば、こうした搬送のリスクや、面会に通う家族の負担を軽減できます。
多胎妊娠(双子など)や、合併症がある場合など、妊娠中から赤ちゃんにリスクがあると想定されているケースでは、NICUがある病院での出産が推奨されます。
では、NICUがない個人クリニックなどで無痛分娩を行うのは危険なのでしょうか。
NICUがない産科施設でも、地域ごとの「周産期医療ネットワーク」によって、近隣の高次医療機関(NICUがある病院)との連携体制が整えられています。
もし赤ちゃんに治療が必要だと判断された場合は、速やかに連携先の病院へ搬送される仕組みになっています。
NICUを持たない多くのクリニックは、基本的にリスクの低い「正常分娩」を扱うことを前提としています。
健診の段階でリスクが高いと判断された場合は、安全のために設備の整った病院への転院を提案されることが一般的です。
以下のようなケースに当てはまる場合は、NICUがある病院、もしくはNICUのある病院と密に連携している病院を選ぶことを強くおすすめします。
病院選びの際、NICUの有無について確認しておきたいポイントをまとめました。
NICUの有無は大きな安心材料の一つですが、無痛分娩の病院選びでは、それ以外の要素とのバランスも重要です。
NICUがある総合病院では、無痛分娩の件数が少なかったり、対応時間が限られていたり(平日日中のみなど)するケースもあります。
ご自身の妊娠経過やリスク、そして「どんなお産にしたいか」を総合的に考えて判断することが大切です。
無痛分娩を選択するからといって、必ずしもNICUが必要なわけではありません。多くの無痛分娩は、NICUのないクリニックでも安全に行われています。
しかし、多胎妊娠や合併症などのリスク要因がある場合や、初産で万が一の安心感を何より重視したい場合には、NICUの有無は非常に大きな判断材料となります。
大切なのは、NICUがあるかどうかという点だけでなく、「もし何かあったときに、その病院がどう動くのか」「どの病院と連携しているのか」という緊急時の体制や対応力を事前に確認しておくことです。
納得できる環境で出産を迎えるためにも、気になっている病院の公式サイトを確認したり、説明会で直接質問してみたりすることをおすすめします。もしNICUや麻酔科医の体制で迷っている場合は、それぞれの条件で病院を比較してみると良いでしょう。
公式サイト、あるいはJALA(無痛分娩関係学会団体連絡協議会)のサイトにて、無痛分娩の年間実績が確認できた、京都市にあるクリニックを選定(2025年4月調査時点)。
分娩可能時間や麻酔科医の在籍数といった医療体制や、NICUの有無、費用も調査しています。
| 無痛分娩の 年間実績 | 麻酔科医の 在籍数(※1) | NICUの 有無(※2) | 無痛分娩 可能時間帯 | 無痛分娩の 費用※税込 | |
|---|---|---|---|---|---|
足立病院 | 546件 (2023年) | 常勤6名 非常勤3名 | 9床 | 24時間 | 550,000円~ 652,000円 |
身原病院 | 415件 (2023年) | 記載なし | 記載なし | 24時間 | 557,000円~ |
中部産婦人科医院 | 347件 (2023年) | 常勤1名 非常勤4名 | 記載なし | 24時間 | 600,000円~ |
醍醐渡辺クリニック | 151件 (2021年) | 記載なし | 記載なし | 記載なし | 590,000円~ |
島岡医院 | 34件 (2023年) | 記載なし | 記載なし | 24時間 | 記載なし |
京都桂病院 | 16件 (2023年) | 常勤1名 | 記載なし | 原則計画分娩 (平日日中) | 570,000円 前後 |
(※1)出典:無痛分娩関係学会・団体連絡協議(https://www.jalasite.org/hp/10469.html
(※2)出典:産後なび(https://www.mhlw.go.jp/stf/birth-navi/search.html?:embed=yes&:linktarget=_blank&01=26&18=01)
無痛分娩の実績について
足立病院(https://www.adachi-hospital.com/numbers/)
身原病院(https://mihara.com/about/outline/)※2023年分娩実績から、無痛分娩割合(平均)に基づき算出
医療法人社団中部産婦人科医院(https://www.nakabe.or.jp/painless.php)
醍醐渡辺クリニック(PDF)(https://hospital.d-w-c.jp/painless_delivery/img/pdf_mutsubunben.pdf)
島岡医院(https://www.shimaoka-ob-gy.minami.kyoto.jp/data/)
京都桂病院(https://www.katsura.com/sanfujinka/labor_analgesia_info.html)
2025年3月15日調査時点
※金額はあくまで目安です。無痛分娩を行なった場合、掲載している費用よりも高くなる可能性もございます。費用の詳細はクリニックに直接お問い合わせください。
無痛分娩は、一般的に硬膜外麻酔を使用して行われます。この処置は高度な技術と経験が必要で、医師であれば誰でも対応できるわけではありません。
そのため、麻酔科医が在籍しているかどうか、何人いるかは、安全かつ計画通りの無痛分娩が可能かを判断するうえでとても重要です。
また、分娩は自然の流れで起こるため、深夜や休日に急に始まることも少なくありません。複数の麻酔科医が常勤で在籍し、交代でオンコール体制を整えている病院であれば、時間に関わらず無痛分娩の希望が叶いやすくなります。
NICU(Neonatal Intensive Care Unit)は、在胎週数や出生体重に関わらず、特別な医療的ケアが必要な新生児を集中的に治療できる医療設備です。
無痛分娩は、母体の心身への負担を軽減する分娩方法として広く利用されています。ただし分娩の種類にかかわらず、新生児には予測が難しい医療的ケアが必要になるケースもあるため、NICUの有無など、施設の対応力を確認しておくことも安心につながります。
NICUのある病院では、生まれてきた赤ちゃんの様子に応じて適切な対応が取れる体制が整っています。