無痛分娩を選ぶと、「もう『痛みをなくす』という一番の希望が叶っているから、バースプランは特に書くことがないのでは?」と思われるかもしれません。
しかし、実際には無痛分娩だからこそ、医師や助産師と共有しておきたい希望や不安があります。
バースプランは、単なる「理想を書く紙」ではなく、医療者とお産のイメージをすり合わせるための大切なツールです。
本記事では、無痛分娩向けの現実的なバースプランの考え方や、そのまま使える例文について解説します。
具体的な書き方を見ていく前に、まずはバースプランの本来の目的を確認しておきましょう。
バースプランは、出産に対する妊婦さんの希望や不安、大切にしたいことを医療スタッフに伝えるためのものです。
事前に共有しておくことで、当日のコミュニケーションがスムーズになり、スタッフも一人ひとりに合わせたサポートがしやすくなります。
ただし、バースプランは「注文書」ではありません。お産は何が起こるか予測できないため、母体や赤ちゃんの安全が最優先されます。
医学的な理由で希望通りにいかない場合もあることを理解した上で、柔軟な姿勢で作成することが大切です。
無痛分娩においても、バースプランを作成し、希望をすり合わせておくことは非常に重要です。
無痛分娩であっても、麻酔以外の部分(過ごし方や産後のケアなど)については、自然分娩と同じように多くの選択肢があります。
また、「無痛」に対するイメージのズレを防ぐためにも、事前の共有が欠かせません。
例えば、「どのタイミングで麻酔を入れてほしいか」「痛みはどの程度まで取り除きたいか」などは、人によって希望が異なります。
また、麻酔による副作用や、分娩中の過ごし方に対する不安も、事前に伝えておくことで安心につながります。
無痛分娩を予定されている方が、特に意識して書いておきたいポイントを4つにまとめました。
麻酔の運用に関する具体的な希望を伝えます。
スタッフからの声かけやサポートについての希望です。
もしもの時の処置について、考えを伝えておきます。
赤ちゃんが生まれた直後や、入院中の過ごし方についてです。
ご自身の状況に合わせて、アレンジして使える例文をご紹介します。
「初めての出産で不安が大きいですが、無痛分娩で落ち着いて赤ちゃんを迎えたいです。
麻酔の効き方や進行状況について、都度説明していただけると安心できます。
医学的に必要な処置については、先生の判断にお任せします。」
「できるだけ自然な陣痛を経験したいですが、痛みに耐えられなくなった場合は無痛分娩に切り替えたいです。
切り替えのタイミングについて、相談に乗っていただけると嬉しいです。」
「計画無痛分娩で、家族の立ち会いのもと出産したいです。
上の子の預け先の都合もあるため、分娩の進み具合や見通しをこまめに教えていただけると助かります。」
「痛みにとても弱く、パニックになりやすい性格です。
麻酔はできるだけ早めにお願いしたいです。もし取り乱してしまったときは、優しく声をかけていただけると嬉しいです。
安全第一で、状況に応じてご判断ください。」
医療スタッフと良い関係を築き、納得のいくお産にするためのポイントです。
全ての希望を羅列するのではなく、「これだけは譲れない」という優先順位をつけて伝えましょう。
「絶対にこうしてほしい」と決めつけるような書き方は避け、「〜していただけると嬉しいです」「可能であれば〜したいです」といった柔らかい表現を心がけるとスムーズです。
最後に「母子の安全を第一に、状況に応じてご判断ください」といった一言を添えておくと、医療スタッフへの信頼が伝わり、信頼関係が築きやすくなります。
バースプランの運用方法は、病院によって異なります。
専用の用紙に記入して提出が必須の病院もあれば、任意の提出、あるいは助産師外来で口頭ですり合わせる形式の病院もあります。
無痛分娩の場合、バースプランとは別に、麻酔に関する詳しい説明(麻酔学級など)や同意書の提出が求められることが一般的です。この段階で、麻酔に関する疑問や希望を解消しておくことが大切です。
提出するだけでなく、妊婦健診の際に医師や助産師と内容について話しておくことで、現実的に可能かどうかの確認ができ、当日の認識ズレを防げます。
バースプランは一人で書くものではありません。ぜひパートナーと一緒に話し合ってみましょう。
立ち会い出産をする場合、夫に何をしてほしいか(飲み物を渡す、腰をさする、写真撮影など)を具体的に決めておくと、当日慌てずに済みます。
「頑張れ」と励ましてほしいのか、静かに手を握っていてほしいのかなど、してほしいサポートの内容を共有しておきましょう。
万が一、ご自身が判断できない状況になった場合、誰に判断を委ねるか、どのような方針で医療処置を受けてほしいかなどを話し合っておくと安心です。
無痛分娩であっても、バースプランを作成することには大きな意味があります。
大切なのは、理想的なお産のシナリオを完璧に作り上げることではなく、ご自身の希望や不安を医療スタッフと共有し、信頼関係を築くことです。
「痛みを取り除いて、どのようなお産にしたいか」をイメージし、現実的で柔軟なバースプランを作成することで、より満足度の高い出産につなげてください。
公式サイト、あるいはJALA(無痛分娩関係学会団体連絡協議会)のサイトにて、無痛分娩の年間実績が確認できた、京都市にあるクリニックを選定(2025年4月調査時点)。
分娩可能時間や麻酔科医の在籍数といった医療体制や、NICUの有無、費用も調査しています。
| 無痛分娩の 年間実績 | 麻酔科医の 在籍数(※1) | NICUの 有無(※2) | 無痛分娩 可能時間帯 | 無痛分娩の 費用※税込 | |
|---|---|---|---|---|---|
足立病院 | 546件 (2023年) | 常勤6名 非常勤3名 | 9床 | 24時間 | 550,000円~ 652,000円 |
身原病院 | 415件 (2023年) | 記載なし | 記載なし | 24時間 | 557,000円~ |
中部産婦人科医院 | 347件 (2023年) | 常勤1名 非常勤4名 | 記載なし | 24時間 | 600,000円~ |
醍醐渡辺クリニック | 151件 (2021年) | 記載なし | 記載なし | 記載なし | 590,000円~ |
島岡医院 | 34件 (2023年) | 記載なし | 記載なし | 24時間 | 記載なし |
京都桂病院 | 16件 (2023年) | 常勤1名 | 記載なし | 原則計画分娩 (平日日中) | 570,000円 前後 |
(※1)出典:無痛分娩関係学会・団体連絡協議(https://www.jalasite.org/hp/10469.html
(※2)出典:産後なび(https://www.mhlw.go.jp/stf/birth-navi/search.html?:embed=yes&:linktarget=_blank&01=26&18=01)
無痛分娩の実績について
足立病院(https://www.adachi-hospital.com/numbers/)
身原病院(https://mihara.com/about/outline/)※2023年分娩実績から、無痛分娩割合(平均)に基づき算出
医療法人社団中部産婦人科医院(https://www.nakabe.or.jp/painless.php)
醍醐渡辺クリニック(PDF)(https://hospital.d-w-c.jp/painless_delivery/img/pdf_mutsubunben.pdf)
島岡医院(https://www.shimaoka-ob-gy.minami.kyoto.jp/data/)
京都桂病院(https://www.katsura.com/sanfujinka/labor_analgesia_info.html)
2025年3月15日調査時点
※金額はあくまで目安です。無痛分娩を行なった場合、掲載している費用よりも高くなる可能性もございます。費用の詳細はクリニックに直接お問い合わせください。
無痛分娩は、一般的に硬膜外麻酔を使用して行われます。この処置は高度な技術と経験が必要で、医師であれば誰でも対応できるわけではありません。
そのため、麻酔科医が在籍しているかどうか、何人いるかは、安全かつ計画通りの無痛分娩が可能かを判断するうえでとても重要です。
また、分娩は自然の流れで起こるため、深夜や休日に急に始まることも少なくありません。複数の麻酔科医が常勤で在籍し、交代でオンコール体制を整えている病院であれば、時間に関わらず無痛分娩の希望が叶いやすくなります。
NICU(Neonatal Intensive Care Unit)は、在胎週数や出生体重に関わらず、特別な医療的ケアが必要な新生児を集中的に治療できる医療設備です。
無痛分娩は、母体の心身への負担を軽減する分娩方法として広く利用されています。ただし分娩の種類にかかわらず、新生児には予測が難しい医療的ケアが必要になるケースもあるため、NICUの有無など、施設の対応力を確認しておくことも安心につながります。
NICUのある病院では、生まれてきた赤ちゃんの様子に応じて適切な対応が取れる体制が整っています。