当記事では、無痛分娩では、初産と経産にどような違いがあるのかまとめています。また、はじめて出産をする方は無痛分娩ができるのかどうかも解説しています。無痛分娩のメリットや医療機関選びのポイントが知りたい方もぜひチェックしてみてください。
人口の多い地域や都心部など以外においては、無痛分娩に対応している医療機関はあまり多くないと言われています。そのため、無痛分娩に対応している医療機関を見つけたとしても「初産婦の受付はしていない」と断られてしまうケースも少なくありません。
結論から述べると、無痛分娩は初産婦と経産婦のどちらでも受けることが可能です。しかし、はじめての出産の方では要する時間が長引きやすい傾向にあり、陣痛の進み具合が読みにくい可能性があります。そのため、安全性の観点から無痛分娩の受け入れを行っていない医療機関もあります。
一般的に、2回目以降の分娩にかかる時間は、初産に要する時間の半分程度とされています。経産婦の場合、胎児がすでに子宮頸管を通過しているので、2人目以降のお産は子宮口が柔らかく開きやすい状態になっているためです。分娩にかかる時間が短いほど、陣痛による痛みを感じる時間も短くなります。
陣痛が一定の間隔になったら分娩の準備を行いますが、陣痛開始となる開口期から出産にいたるまで、初産婦と経産婦では時間が倍近くも異なるのが特徴です。
無痛分娩には、自然に陣痛が起こるのを待つ自然無痛分娩と、計画的に行う計画無痛分娩の2種類あります。初産婦の場合、陣痛誘発剤の効果が見られにくいケースがあり、計画無痛分娩が困難となることがあります。
また、初産は経産婦を比較すると、お産に要する時間が長引く傾向にあります。とりわけ、子宮口が全開となってから赤ちゃんが生まれるまでの期間(分娩第2期)は、経産婦が平均30分〜1時間ほどで済むのに対して、初産婦では1〜3時間かかるケースが多いです。
無痛分娩の際には、麻酔科医や助産師・看護師など医療スタッフの体制を万全にしておかなければなりません。人員に余裕のないクリニックでは、無痛分娩のためにスタッフを待機させておくことが難しいことがあります。
無痛分娩を希望する場合、麻酔科の医師が常駐している医療機関や、無痛分娩の実績が豊富なクリニックを選ぶことで、リスクを低減できる可能性が高まります。
はじめて出産する場合、「お産はどのくらい痛みがあるのか」と強い恐怖心を持ってしまう方も少なくありません。恐怖や緊張から、強い痛みを感じてしまい、次回の妊娠や出産を前向きに考えられなくなってしまうケースも。出産の際に、痛みをコントロールできれば、そのようなトラウマを防ぐことにもつながります。
はじめての出産では、「お産はどのくらい痛い?」と強い恐怖心を抱いてしまうケースも少なくありません。恐怖心や緊張感から、体力を消耗し、分娩時間がさらに長引くリスクもあります。
無痛分娩を選択すると「痛みが見られたら麻酔をお願いできる」といった安心感につながりやすいです。出産時のダメージをなるべく軽減しておくと、体力温存と早期回復につながると考えられます。
出産の経過途中で、母体や赤ちゃんにリスクが生じた際には、帝王切開に切り替えとなるケースも出てきます。もし帝王切開が必要となった場合、硬膜外無痛分娩を行っている方は、帝王切開の麻酔に速やかに移行可能です。
帝王切開は硬膜外麻酔が必要ですが、無痛分娩をしている産婦さんの背中にはすでに硬膜外カテーテルが入っています。そのため、同じカテーテルを用いて、無痛分娩で使用する鎮痛薬よりも強い鎮痛薬をあらたに追加すれば、速やかに帝王切開を行うことが可能です。
以上のことから、帝王切開に移行することが決定後に、慌ててカテーテルを挿入する必要がないのがメリットと言えます。
自然分娩では、初産婦の分娩の平均時間は12~15時間ほどとされています。初産の人が無痛分娩を受ける場合は、3~5時間ほど追加でかかるのが特徴です。しかし、出産の進行状況は個人差が大きいため、一概に「無痛分娩だから時間がかかる」とは言えません。
実際に無痛分娩受けた人の中には、「数時間長くなるだけで痛みを軽減できるなら、次回の出産も無痛分娩にしたい」といった声もきかれているほどです。そのため、出産時にかかる時間による負担の感じ方には個人差が生じると言えます。
医療機関を選ぶ際、はじめて出産する方でも無痛分娩の受付を行っているかどうか確認するのはもちろん、どのような方式を取り入れているかどうかもチェックしておきましょう。
医療機関によっては、無痛分娩の受け入れは経産婦だけというクリニックもあります。はじめて出産する人でも、受け入れを行っているかどうかあらかじめ確認が必要です。
前述の通り、無痛分娩には、オンデマンド方式と計画分娩方式の2種類があります。医療機関により対応できる方式が異なるため、自分の希望に合った方式で対応してもらえるかどうかもチェックしておくようにしましょう。
A. はい、無痛分娩は初産婦・経産婦のどちらでも受けることが可能です。ただし、医療機関によっては安全性や人員体制の観点から、初産婦の無痛分娩を受け入れていない場合もあるため、事前確認が必要です。
A. 初産は分娩に要する時間が長引きやすく、陣痛の進行が読みにくい傾向があります。そのため、麻酔科医や助産師の待機体制を長時間維持する必要があり、人員や体制に余裕のない医療機関では、安全性の観点から受け入れを行っていない場合があります。
A. 一般的に、経産婦の分娩時間は初産婦の約半分程度とされています。初産婦では、子宮口が開きにくく、開口期から分娩までに時間がかかりやすいのが特徴です。
A. 初めての出産に対する強い恐怖心や緊張を和らげられる点が大きなメリットです。痛みをコントロールできることで体力の消耗を抑えやすくなり、出産後の回復や精神的な安定につながると考えられています。
A. 初産婦はもともと分娩時間が長くなりやすく、無痛分娩ではさらに3〜5時間程度長くなるケースがあるとされています。ただし、進行状況には個人差が大きく、無痛分娩だから必ず時間がかかるとは限りません。
A. はい、硬膜外無痛分娩を行っている場合、背中にすでにカテーテルが入っているため、帝王切開が必要になった際も同じカテーテルを使用して速やかに麻酔を切り替えることが可能です。緊急時の対応がスムーズになる点はメリットの一つです。
A. 初産婦の無痛分娩に対応していることに加え、麻酔科医が常駐している、無痛分娩の実績が豊富である、医療スタッフの体制が整っている医療機関を選ぶことで、リスクを抑えられる可能性が高まります。
A. 感染症の疑いがある場合、血小板が少ないなど出血リスクが高い場合、一部の心疾患がある場合、背骨の状態や肥満によりカテーテル挿入が難しい場合、麻酔薬にアレルギーがある場合などは、無痛分娩が適さないと判断されることがあります。事前に医師へ相談することが重要です。
無痛分娩は、初産婦と経産婦のどちらでも受けることが可能です。しかし、はじめての出産では分娩時間が長引きやすい傾向にあることから、人員確保や安全面の観点から無痛分娩の受け入れをしていないところもあります。
また、背骨が曲がっている方や、抗血小板薬や抗凝固薬などの血液をサラサラに成分の含まれた薬を内服中の方、麻酔薬でアレルギーを起こしたことがある方、肥満傾向の方は無痛分娩を受けられない可能性があるため、事前にしっかりと確認しておくことが重要です。
はじめての出産であっても無痛分娩を受けたい場合は、対応可能な医療機関の選定と、麻酔科医による適切な麻酔管理を行っているかどうか確認しておくようにしましょう。
公式サイト、あるいはJALA(無痛分娩関係学会団体連絡協議会)のサイトにて、無痛分娩の年間実績が確認できた、京都市にあるクリニックを選定(2025年4月調査時点)。
分娩可能時間や麻酔科医の在籍数といった医療体制や、NICUの有無、費用も調査しています。
| 無痛分娩の 年間実績 | 麻酔科医の 在籍数(※1) | NICUの 有無(※2) | 無痛分娩 可能時間帯 | 無痛分娩の 費用※税込 | |
|---|---|---|---|---|---|
足立病院 | 546件 (2023年) | 常勤6名 非常勤3名 | 9床 | 24時間 | 550,000円~ 652,000円 |
身原病院 | 415件 (2023年) | 記載なし | 記載なし | 24時間 | 557,000円~ |
中部産婦人科医院 | 347件 (2023年) | 常勤1名 非常勤4名 | 記載なし | 24時間 | 600,000円~ |
醍醐渡辺クリニック | 151件 (2021年) | 記載なし | 記載なし | 記載なし | 590,000円~ |
島岡医院 | 34件 (2023年) | 記載なし | 記載なし | 24時間 | 記載なし |
京都桂病院 | 16件 (2023年) | 常勤1名 | 記載なし | 原則計画分娩 (平日日中) | 570,000円 前後 |
(※1)出典:無痛分娩関係学会・団体連絡協議(https://www.jalasite.org/hp/10469.html
(※2)出典:産後なび(https://www.mhlw.go.jp/stf/birth-navi/search.html?:embed=yes&:linktarget=_blank&01=26&18=01)
無痛分娩の実績について
足立病院(https://www.adachi-hospital.com/numbers/)
身原病院(https://mihara.com/about/outline/)※2023年分娩実績から、無痛分娩割合(平均)に基づき算出
医療法人社団中部産婦人科医院(https://www.nakabe.or.jp/painless.php)
醍醐渡辺クリニック(PDF)(https://hospital.d-w-c.jp/painless_delivery/img/pdf_mutsubunben.pdf)
島岡医院(https://www.shimaoka-ob-gy.minami.kyoto.jp/data/)
京都桂病院(https://www.katsura.com/sanfujinka/labor_analgesia_info.html)
2025年3月15日調査時点
※金額はあくまで目安です。無痛分娩を行なった場合、掲載している費用よりも高くなる可能性もございます。費用の詳細はクリニックに直接お問い合わせください。
無痛分娩は、一般的に硬膜外麻酔を使用して行われます。この処置は高度な技術と経験が必要で、医師であれば誰でも対応できるわけではありません。
そのため、麻酔科医が在籍しているかどうか、何人いるかは、安全かつ計画通りの無痛分娩が可能かを判断するうえでとても重要です。
また、分娩は自然の流れで起こるため、深夜や休日に急に始まることも少なくありません。複数の麻酔科医が常勤で在籍し、交代でオンコール体制を整えている病院であれば、時間に関わらず無痛分娩の希望が叶いやすくなります。
NICU(Neonatal Intensive Care Unit)は、在胎週数や出生体重に関わらず、特別な医療的ケアが必要な新生児を集中的に治療できる医療設備です。
無痛分娩は、母体の心身への負担を軽減する分娩方法として広く利用されています。ただし分娩の種類にかかわらず、新生児には予測が難しい医療的ケアが必要になるケースもあるため、NICUの有無など、施設の対応力を確認しておくことも安心につながります。
NICUのある病院では、生まれてきた赤ちゃんの様子に応じて適切な対応が取れる体制が整っています。